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基幹業務システムのリプレイスに伴いローコード開発基盤を採用
ランニングコスト削減、システム運用負荷軽減を実現

株式会社淺沼組様
株式会社 淺沼組 様

所在地:大阪府大阪市浪速区湊町1-2-3 マルイト難波ビル
事業内容:総合建設業
URL:https://www.asanuma.co.jp/

ERPパッケージではカスタマイズが必要となる営業・工事系システムをローコード開発基盤「FastAPP」で構築
導入のポイント
  • FastAPPの採用により、ランニングコストを約3分の2に圧縮
  • クラウドベースのシステムへ移行し、運用保守業務を軽減
  • ERPパッケージでは対応しきれない独自システムを自在に構築

創業120余年の歴史を誇る総合建設会社です。歴史的建築物から超高層ビル、公共事業、インフラまで幅広いジャンルの建設・土木・不動産事業を手掛ける淺沼組は「人と環境を大切にする創環境企業」として、創業以来、蓄積してきたノウハウと時代のニーズに応える最新の技術により、豊かな未来につながる高品位環境を提供しています。今回、基幹業務システムの刷新においてFastAPPによる新しい基幹業務システムへ移行したことにより、ランニングコストが従来比で約3分の2に圧縮するというコスト削減効果が得られました。

  • 神戸 太氏

    株式会社淺沼組
    システム事業推進部 部長
    神戸 太氏

  • 入谷 努氏

    株式会社淺沼組
    システム事業推進部
    入谷 努氏

  • 向井 由香氏

    株式会社淺沼組
    システム事業推進部
    向井 由香氏

基幹業務システムの老朽化に課題を抱えていた淺沼組
クラウドベースの新システムへの全面刷新を決断

 全国で事業展開する総合建設業の淺沼組では、統合型ERPパッケージによるオンプレミスの基幹業務システムが15年以上も稼働していた。しかし、同じシステムを長きにわたって使い続けてきたこともあり、アップデートに伴う処理速度の低下をはじめ、様々な課題が生じるようになってきた。特に、「人材育成とコスト削減は、すぐにでも解決すべき喫緊の課題でした」と、同社のシステム事業推進部部長の神戸 太 氏は話す。

「当社は既存の基幹業務システムを運用し続けてきましたが、導入当時のメンバーはシステム事業推進部に私以外誰も残っていません。既存システムの運用管理ノウハウを伝承する人材育成が十分でなかったこともあり、このまま使い続けても将来性はありません。また、高額なランニングコストも大きな負担になっており、コスト削減の取り組みも急務でした」(神戸氏)

 これを受けてシステム事業推進部では、2016年後半から基幹業務システムの刷新に向けた調査を開始した。

「当社と20年以上の取引関係にあり、従来の基幹業務システムの導入・運用支援を委託していたSCSKにも相談し、時間をかけて調査を進めました。ランニングコストの削減を第一に、運用保守性・利便性の高さを重視したところ、オンプレミスではなくクラウドソリューションへ移行することが望ましいという結論を得ました。ちょうど“2025年の崖”が話題となり、DXの推進とレガシーシステムの刷新が求められているという背景もあって、2018年にクラウドベースの新しい基幹業務システムへ全面的に刷新するという決定をしました」(神戸氏)

Webシステムを容易に開発できるローコード開発基盤「FastAPP」を採用
ランニングコストを約3分の2に圧縮

 クラウド型の基幹業務システムを構築するという決断をした淺沼組は、複数のソリューションを候補に挙げて比較検討を入念に行った。当初は海外製ERPパッケージを有力な移行先と見ていたが、検討段階で大きな課題が発覚した。

「会計や人事給与などの業務はパッケージの汎用的な機能で対応できますが、他業務においては当社の仕組みに合わないといった、ERPパッケージの標準機能ではカバーしきれない領域が多くあることが判明しました」(入谷氏)

 特に、営業・工事系システムには、淺沼組独自のビジネスノウハウが詰まっていることもあり、ERPパッケージに合わせて運用を変えることは難しい。既存システムではフルスクラッチすることで何とか対応させたが、新しいERPパッケージでも同様にコストをかけて開発するのは大きな無駄となる。
 こうした課題を解決するために淺沼組は、全業務にERPパッケージを導入するのではなく、汎用的なシステムでも対応できる会計や人事給与のシステムにはクラウドERPを採用し、営業・工事系の業務システムは独自に構築するという方法をとることにした。そして、独自の業務システムの開発・実行基盤として同社が選定したのが、SCSKオリジナルの開発基盤である「FastAPP」だった。

「カスタマイズのコストをかけずに新しい基幹業務システムを構築したいという当社の要望に対し、SCSKから提案されたのがFastAPPでした。FastAPPを利用すれば、ローコードでWebシステムを容易に開発でき、それと同時にBIツールの開発もスピーディに実施できるとのことでした。クラウドサービスとして提供されているので、システム基盤の運用保守業務からも解放されます。これらの点が決め手となり、採用を決定しました」(入谷氏)

 淺沼組がFastAPPを使って基幹業務システムの開発に着手したのは、2019年3月のことだった。

「FastAPPでは、従来の統合型ERPパッケージで使用していた既存のロジックソースを最大限に活用しながら開発を進めました。画面レイアウトは実際に使用するユーザーの意見も参考にしながら、操作性に優れた使い勝手の良いシステムに作り上げました」(向井氏)

 FastAPPの開発では、アプリケーションを動かしながら動作が確認できるため、ユーザーと画面を共有しながら開発を進めることができ、その結果、使いやすい画面を作成することが可能になる。
 新しいシステムが稼働開始したのは、2020年5月。運用を開始して間もないものの、すでに様々な効果が表れている。

「最大の懸案事項だったランニングコストの削減については、ライセンス費用を大幅に抑えられた他、データセンター費用やインフラ保守運用の負荷軽減などのコストの削減などもあり、およそ3分の2程度に圧縮できると見込んでいます。また既存システムに比べてパフォーマンスが大幅に改善し、安定稼働し続けていることも大きな導入効果です」(神戸氏)

 ユーザーからの評判も上々だ。

「Webベースの新しいシステムでは、ユーザーが操作する画面のデザインが大幅に変わったにもかかわらず、ユーザーから使い方の問合せがほとんどありません。これは、操作性に優れていることを表していると考えています。また、画面上からデータを取り出し、Excelでデータを分析・可視化している経営企画部門からも、非常に使いやすくなったという声が上がっています」(向井氏)

即座に業務を改善できるシステム基盤を構築
将来的にはシステム開発の内製化も視野に

 短期間のうちに新しい基幹業務システムへの移行を果たした淺沼組では、今後ビジネス環境が急変したとしても、即座にシステム対応可能な開発基盤を構築することができた。今回のシステム開発ではSCSKが強力に支援したが、将来的にはシステム開発の内製化も視野に入れているという。

「今後は、国内外各地の拠点へと基幹業務システムの適用範囲を広げていくとともに、現在はExcelを使っているデータ分析・可視化の業務を、BIツールのダッシュボードへ切り替えるといったことも検討しています。SCSKにはタイトなスケジュールの中、当社からの要望を取り入れ、信頼性の高い素晴らしい基幹業務システムを構築してくれたと感謝しています。当社のシステム部門は人員も限られているので、これからも引き続き当社のパートナーとして協力していただきたいと思っています」(神戸氏)

 重厚長大なオンプレミスの統合型ERPパッケージから、軽量でスマートなクラウドベースの基幹業務システムへと移行した淺沼組。FastAPPというシステム基盤は、今後も同社のビジネスを支え続けていくことだろう。


※本事例のクラウドソリューションにはAWSを利用しております。

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