ピックアップ事例

業務アプリケーションの開発にFastAPPを活用
かかる期間とコストを大幅に削減

三井不動産リアルティ株式会社様
三井不動産リアルティ株式会社様

設立:1969年7月
所在地:東京都千代田区霞が関3-2-5
事業内容:個人/法人向け不動産仲介事業、駐車場事業、ほかデューデリジェンス(詳細調査)、不動産鑑定評価、保険の代理店など
URL:https://www.mf-realty.jp/

「三井のリハウス」を支える業務アプリケーション開発基盤
導入のポイント
  • システムの乱立を防ぐため開発体制を整備し、FastAPPを採用
  • アプリケーションの開発にかかる期間の短縮と、コストの軽減を実現
  • モックアップを使った要件定義により、柔軟な開発が可能に

「三井のリハウス」でおなじみの個人向け不動産仲介をはじめ、「三井のリパーク」で展開している駐車場の管理・運営、法人向け不動産仲介、投資・相続コンサルティングなどを手がける三井不動産リアルティ。かつて同社では、業務アプリケーションを各部門が独自に開発していたおかげで300近いシステムが乱立し、そのブラックボックス化が進んでいました。こうした問題を解決するため、同社はSCSKの「FastAPP」を統合開発基盤として導入。アプリケーションの開発はITマネジメント部が一括して行い、社内に展開するという体制を整えました。これによりIT統制が実現するとともに、開発にかかる期間の短縮とコストの軽減が実現しています。

  • 喜納 秀行 氏

    ITマネジメント部
    システムソリューショングループ
    グループ長
    喜納 秀行 氏

  • 山本 秀樹 氏

    ITマネジメント部
    システムソリューショングループ
    山本 秀樹 氏

社内に業務アプリケーションが乱立し、IT統制も不十分

 「三井のリハウス」ブランドで知られる不動産流通事業会社、三井不動産リアルティ。31年連続全国売買仲介取扱件数No.1の実績を誇る同社は、創業以来の理念である「顧客第一」という精神のもと、日々地域に密着したサービスを提供しています。
 かつて同社では、台帳管理や案件管理などの業務で使うアプリケーションについて、各部門が独自に開発を行っていました。その結果、社内に約300ものシステムが乱立してしまい、管理が行き届かない状況に陥ってしまったのです。当時についてITマネジメント部 システムソリューショングループ グループ長の喜納秀行氏は

「アプリケーションの多くはExcelやAccessにマクロを組んで作成していたのですが、こうしたシステムは状況が変わると動かなくなってしまうことも多く、また、作った人間が退職や異動でいなくなり、不具合が出ても中身がわからないので対応できないという事態もしばしば発生していました。また、会社としても社内にどれだけのシステムがあるのか正確に把握できておらず、IT統制という意味でも問題がありました。そこで、これ以上のブラックボックス化を防ぐためにも、新規のアプリケーションについてはITマネジメント部が一括して開発することにしたのです」

と振り返ります。

データベースの自由度の高さと充実した機能を評価し、FastAPPを採用

 そこで同社は、アプリケーション開発のためのプラットフォームの導入を検討。その候補のひとつとして上がってきたのが、SCSKの超高速開発・実行基盤「FastAPP」でした。

「当社がSCSKのIaaSサービス『USiZE』を別システムの運用基盤として利用していたこともあって、その営業担当からFastAPPの紹介を受けました」(喜納氏)

 ではなぜ最終的にFastAPPが選ばれたのでしょうか。ITマネジメント部 システムソリューショングループの山本秀樹氏は、

データベース(以下、DB)の自由度の高さが決め手になった

といいます。
「他の製品ではDBがソリューションに内包されており、その利用を制限されるおそれがありました。これに対しFastAPPはDBが外付けであり、DBに手を入れたり、基幹系システムと連携させたりすることも可能で、ベンダロックインを受けない点に魅力を感じました。このほか、開発基盤からドキュメントまでが標準機能として揃っていること、操作性およびメンテナンス性が高いことなども評価のポイントになっています」
 同社は2013年8月よりFastAPPの評価版を導入しテストを実施。
12月に本契約へと切り替えました。なおこの際、かねてより同社がシステムのクラウド化を進めていることもあり、USiZE上で稼働するPaaSのかたちで導入しています。

不動産物件の登記申請情報検索システムなど約20種類のアプリケーションを作成

 同社がFastAPPを導入後、最初に開発されたのが不動産物件の登記申請情報検索システムでした。登記申請は毎月60万件の情報が更新され、格納するデータ量も合計で約6,000万件と膨大な量にのぼるため、その開発においては何よりパフォーマンスが重視されました。

「開発にあたってはその複雑化・属人化に歯止めをかけるため、基本的にカスタマイズを禁止し、FastAPPの標準機能のみで対応するようにしています。このシステムは扱うデータ量が多いだけに心配でしたが、実用に耐えうるものを作ることができました」(喜納氏)

 取材時点(2017年6月)では、すでに約20種類のアプリケーションが作成され、実際に稼働しています。その中でも特徴的なのが、基幹システムと疎結合で連携している「360°サポート」のシステムです。360°サポートは三井のリハウスのメニューのひとつで、物件の売主と買主の両方に設備や建物の修理等を保証するもの。建物、設備、補修など複数のサービスが関係するため、頻繁に機能のエンハンスが発生しますが、同社はこのシステムをFastAPPで開発した上で提携企業にも画面を解放し、連携を行っています。

「360°サポートのシステムはフロントに利用し、裏で基幹システムと連携しています。両者の連携の際には基幹側にAPIを作ることで、アプリケーション側には運用負荷がかからないよう工夫しました」(喜納氏)

可変要素の多いアプリケーションも短期間でサービスイン

同社がFastAPPを導入したことで、アプリケーションの開発にかかる期間は短縮され、コストも軽減されたといいます。

「360°サポートは3ヵ月でリリースすることができましたが、これをスクラッチで開発した場合、完成までゆうに1年以上はかかっていたと思います。タイムリーなシステムを作るという点からすれば、開発期間が短いのは大きなメリットですね。また、コストについても社内で開発することで20分の1~50分の1以下に抑えることができました。さらに特筆すべきは柔軟性の高さです。可変要素が多いアプリケーションを短期間でサービスインし、後から作り込んでいくことができるアジャイル開発が可能になったことで、自由度も大いに高まりました。ソースコードがないので、不具合が少ないというのも長所ですね」(喜納氏)

 FastAPPでは、モックアップを作って実際に動かしながら要件定義を検討することもできます。同社ではこの特長を活かし、開発に業務部門のスタッフを参加させて、要望を可能な限り反映させるようにしています。結果、アプリケーションに対するユーザーの満足度も高く、導入後の改善要求もほとんど発生しないそうで、噂を聞きつけた他部署からの問い合わせも増えているとのことです。

可変要素の多いアプリケーションも短期間でサービスイン

業務アプリケーションを基幹システムやイントラネットと連携させたい

 同社は、今後もユーザーから上がってくる要望をもとに、FastAPPを用いて各種アプリケーションを開発し、社内に展開していく予定です。

「当社では仲介営業支援システムを新たに構築中ですが、この周辺システムを作成する際にFastAPPが使えるのではないかと考えています。また、FastAPPで作った機能は基幹システムとAPI連携していますが、将来的にはUIを連結することも検討しています。FastAPPで作ったアプリケーションを束ねてワークフローと合わせポータル化し、既存のイントラネットと連携するというのもいいですね」(喜納氏)

 最後に、今回の導入におけるSCSKの働きについて、山本氏は次のように評価しています。

「当初はFastAPPが思うように動かなかったり、不具合が発生したりしたこともありましたが、SCSKの手厚いサポートもあって今は安定しています。今後もよりいっそうの支援を期待しております」

 FastAPPを4年以上にわたって使い続けている同社の事例は、業務アプリケーションを効率的に開発したいと考えている企業にとって、大いに参考になりそうです。

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