設立:1984年6月
所在地:東京都千代田区飯田橋3-10-10
事業内容:移動通信事業、固定通信事業、その他
URL:http://www.kddi.com/
固定/携帯電話やインターネットサービスなどの電気通信事業を提供しているKDDI。
同社で全国のCATV事業者と「ケーブルプラス電話」等の提携サービスを展開しているメディア・CATV推進本部では、その契約業務の連携システムを共用していましたが、その使い勝手の悪さに課題を抱えていました。そこで同社はSCSKの超高速開発・実行基盤「FastAPP」を採用し、ユーザーの要望を採り入れた新たなシステムを構築。使い勝手が大幅に改善されたことで業務の効率化が進み、ユーザーの満足度も高まっています。
メディア・CATV 推進本部
営業企画部 ケーブルアシストセンター
センター長
藤澤 照正 氏
メディア・CATV 推進本部
営業企画部 ケーブルアシストセンター
業務企画グループ マネージャー
山本 達也 氏
「お客さま体験価値を提供するビジネスへの変革」を事業運営方針に掲げ、「ライフデザイン企業」への変革を目指しているKDDI。その施策の一環として同社は、全国のCATV事業者と提携し、固定電話やインターネット、最近は電気や保険サービスなどを提供しています。
これらのサービスの提供にあたって同社では、CATV事業者とKDDI双方が顧客情報や契約情報を参照したり、顧客から寄せられた依頼内容や応対内容を連携し処理するための業務連携システムを用意していました。CATV事業者とKDDIの担当者はこのシステムを使って各種手続きを処理していたのですが、残念ながら使い勝手は悪く、ユーザーからは不満の声が多く寄せられていたといいます。当時についてメディア・CATV推進本部 営業企画部 ケーブルアシストセンター センター長の藤澤照正氏は
「今までのシステムは当社の別の通信サービスの管理システムに相乗りするかたちで構築されたため、CATV事業者向けの業務には最適化されていないところがありました」
と振り返ります。
その理由としては、システムの操作方法や案件の状況がわかりにくかったり、手入力が多く依頼作成に時間がかかる等、使い勝手の悪さが挙がっていたといいます。そこで危機感を持った同社はこうした課題の解決を目指しシステムの刷新を検討することにしました。
KDDIでは、複数のベンダーの提案の中から、SCSKの超高速開発・実行基盤「FastAPP」を採用し、これを用いて新たにシステムを構築することを決断しました。その理由について、メディア・CATV推進本部 営業企画部 ケーブルアシストセンター 業務企画グループ マネージャーの山本達也氏は
「第一に、コストがスクラッチより安価で済むことがあります。また、ユーザーが使いやすいシステムを作るという意味では、モックアップを使った柔軟な開発が可能なFastAPPがマッチしていました。さらには、導入後もちょっとした改修程度なら社内で対応できるためメンテナンス性が高く、保守コストの軽減につながる点も魅力でしたね。これらの理由に加え、FastAPPは社内の別システムで実績があり、評判が良かったことも採用を後押ししました」
と説明します。
同社は2014年11月から新たなシステムの開発に着手。設計、構築、テストを経て2015年4月には完了に至っています。開発には実際にシステムを利用する担当者が参画し、要件や画面の配置、操作の方法などをユーザーの目線から検討。使い勝手の良いシステムの実現を目指しました。この際には、モックアップを使って基本的なひな型を作り、これをベースに触りながら修正を加えていく手法をとったことで、開発は6カ月という短期間で終了しました。
「SCSKからは以前の導入にも関わった経験豊富なSEをアサインしていただいたため、非常に心強かったですね」(山本氏)
新システムが本稼働後は旧システムからの移行作業を実施。2015年7月までにすべてのCATV事業者が新システムに切り替えています。
「仕掛かり中のデータの取り扱いや、使い方の教育まで含めて段取りを綿密に検討し、3段階に分けて移行を実行しました。まずは小規模なところから試験的に移行、フィードバックを受けて改善を図った上で、規模の大きなところを順次移行させました」(山本氏)
新たなシステムは「CORTANA(コルタナ)」と名付けられ、現在はCATV事業者が約9,000人、KDDIのオペレータが約1,000人、合計約1万人が利用中です。処理件数は月間約4万件、年間で約50万件に達しています。
「このように膨大な量の処理を扱い、かつセキュリティや堅牢性の高さが求められるシステムを無事に稼働までもっていけたことは当社にとっても大きな成果だと思います」(山本氏)
新システムは現場の意見を採り入れながら開発が進められたため、使い勝手が大幅に改善。ユーザーの満足度も向上したといいます。
「CATV事業者へのアンケートでも評価がプラスに転じ導入の効果は確実に現れています」(山本氏)
使い勝手の改善はFastAPPのメンテナンス性が良いことから都度、システム改善を行っています、それは業務の効率化としてオペレータの負荷や操作ミスの低減につながりました。
「各CATV事業者はKDDI以外の通信事業者とも取引を行っていますが、こうしたシステムを活用しているのは当社だけですので、これは他社に対する優位性、差別化につながっていると思います」(藤澤氏)
KDDIではボタン配置の変更や登録画面の修正など細かい調整は自分で行いつつ、SCSKの協力を得ながら必要に応じてシステムを改修しています。
さらには、新しいサービスを提供する際にも、積極的に活用を推進しているとのことです。
「当社は通信事業以外にケーブルプラスでんきや保険などのライフデザインサービスも開始していますので、そうしたサービスの管理システムの開発にもFastAPPを活用しています、その時もFastAPPでは画面を見ながら要件を詰めることができ効果的でした」(藤澤氏)
また今後、中長期的には、しかるべきタイミングで更なるサービス向上、機能アップに向けてFastAPPをバージョンアップすることも含め検討していく予定です。大量の情報を処理するシステムを短期間で構築し、使い勝手を改善することでユーザーの満足度を向上させたKDDIの事例は、同様のシステムを利用する企業にとって大いに参考になりそうです。